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創造の力
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創造の力[033]津波てんでんこ東日本大震災は、大津波で多数の方が命を落とされました。三陸沖は、たびたび大津波が繰り返されており、津波に対する教訓が、「津波てんでんこ」として言い伝えられています。 津波てんでんこについて、Wikipedia からお借りします。 --------引用開始--------------- 「津波てんでんこ」「命てんでんこ」を防災教訓として解釈すると、それぞれ「津波が来たら、取る物も取り敢えず、肉親にも構わずに、各自てんでんばらばらに一人で高台へと逃げろ」「自分の命は自分で守れ」になるという。また、自分自身は助かり他人を助けられなかったとしてもそれを非難しない、という不文律にもなっている。 2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)においては、「津波てんでんこ」に反して自宅に家財道具を取りに行ったり家族を迎えに行ったりして、結果津波に飲み込まれるケースが各所で発生した。 他方、釜石市立釜石東中学校では「津波てんでんこ」を基に、生徒たちが教師からの指示も待たずに各自高台へと避難した。その結果、校舎が津波に飲み込まれたにも関わらず、登校者全員の無事が確認され、「釜石の奇跡」とマスコミなどにもてはやされた。 --------引用ここまで--------------- てんでんこはすばらしい!!という評価が行き渡りました。 しかし、違和感もあります。 Wikipediaに、このような説明があります。 --------引用開始--------------- 『津波てんでんこ』という言葉が独り歩きし、現代的には高齢者等の「災害弱者」を省みない利己主義的な発想と非難されることもある。 近年、少子高齢化が深刻な三陸地域では、「津波てんでんこ」の伝承地域であっても、町内会等で自主防災組織が結成され、町内会長が高齢者の逃げ遅れがないよう点呼を行ってから集団避難することがルール化されてきた。しかし、岩手県・宮城県・福島県で震災1ヶ月後の4月11日までに検視された13,135人の死因の92・5%が水死で、全体の6割超が60歳以上と、多くの高齢者を津波から救うことが出来なかった。そればかりか、「てんでんこ」に反して災害弱者の避難誘導をしていたために、津波に巻き込まれて犠牲になるケースが多く発生した。 伝承の成立期とは人口構成も社会環境も異なる現代において「てんでんこ」をどうとらえ直すのか、被災地の議会でも議論が始まっている。 --------引用ここまで--------------- なかなか複雑な問題です。 ただ、ちょっと気をつけなければならないのは、てんでんこが利己主義ではないかという批判は、外部から生じているのではなく、同じ状況を共有する、同じ被災者から出ています。 http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1062/20111025_03.htm 釜石市議会で、出た意見です。 「とにかく逃げよ」という前に、もっと大事な何かがあるのではないか。それがてんでんこには欠けているのではないかという、漠たる不安。これは、外部の私たちも、感じないわけではありません。 |