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創造の力
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創造の力[239]すべての人が望むこと人間の苦しみや悲しみや不安や怖れといった「問題」は、じつに多様です。 とはいえ、それらは意外と単純ではないかとも思えます。もちろん、物理的な方法で解決しなければいけない問題も多くあります。でも、ある1つのことが、もっと根本にあり、それさえ解消されれば、問題のいくらかの部分、あるいはかなりの部分、もしかするとほぼ全てが解決したも同然という状況が生まれます。 私がそのことに気づいたのは、マーケティングの勉強をしていたときです。 商品を売るには、セールスが必要で、お客様に情報を伝え、購買行動に導くことになります。ノウハウとしてはそうなのですが、それよりもっと大事なことがあると、いたるところで強調されています。 それは、お客様の声をとことん聞き、お客様の問題(感情)を深く理解することです。 それはそうなのかもしれません。相手が欲しがらないものを無理に売ろうとするなら、押し売りにしかならないでしょうし、売られる方からしたら、迷惑です。でも、買うことで幸せになれるという買い物もあります。 人は、モノに対してお金を払うのではない。感情の変化に対してお金を払うのだと、ジェームススキナーさんが言っています。感情の変化が生じるような購入は、「私が理解されている」という場合です。 7つの習慣でも、「理解してから理解される」ことの重要性を説いています。ドラッカーも、『マネジメント』で、顧客を定義することを出発点にせよと言っています。顧客の定義とは、理解すべき相手の特定です。 ビジネスとは、商品やサービスを「提供する」ことだと思っていましたが、そうではなく、「お客様を理解する」ことなのだと考えた方がいいのかも知れません。矢印の方向が逆なのです。商品やサービスは、「あなたを理解しましたよ」ということの証に過ぎないのかもしれません。すると、対価、つまりお金は、理解してもらったことへのお礼なのかもしれません。 こういう目で見ると、世の中、何を見ても、この仕組みが成り立ちそうに見えます。 人間、話したい人はたくさんいますが、聞きたい人は少ないです。自分をわかってもらいたい人は、あふれかえっていても、他人を理解しようとする人は、まれです。そこに、問題が生じるのではないでしょうか。 じっさいのところ、傾聴だけで大きな問題があっさり解決したという、奇跡のような話は、数多くあります。コヴィーさんの『7つの習慣』に次ぐ名著『第3の案』には、そのことがぎっしり描かれています。 どんな文学作品でも、神話でも、昔話でも、相手を理解した時に、感動や問題解決が生じていることに気づきます。 自己啓発も、成功哲学も、心理学も、同じことを言っています。 価値とは、ここにあるのではないでしょうか。 人はだれもが、理解されたいと望んでいます。それが満たされないことで、種々の問題が生じます。理解されたら、問題の多くは、解決が見えてきます。 自分の人生を生きるとは、「私を理解して頂く」ことなのかも知れません。しかし、「私を理解して頂く」ことは、蜃気楼です。なぜなら、「私を理解して頂く」ことは、「あなたを理解する」ことと同義だからです。 |