子どもたちにとって最も良い学びのあり方を求めて

モモナナじぇーぴー

メイン
ホームスクーリング実践記

ホームスクーリング実践記

[026]科学

  

 

もっと後に詳しく触れますが、私たちの地域、童仙房は、かくかくしかじかというご縁によって、2006年から、京都大学とともに生涯学習活動を継続しています。2007年に、京都大学総合博物館の大野照文教授が、こんな山の上まで来てくださって、子どもを含む一般の人たちに、三葉虫の模型や実際の化石を使って、講義(大学風にいうと、演習)をしてくださいました。

「三葉虫は、どうやって身を守ったか?」というお題です。まず、考えられる意見をどんどん出します。これが、仮説です。そして、それぞれの仮説の提唱者が、議論をします。最後に、証拠(化石)で検証します。最後に、大野先生のまとめ。「これが科学のプロセスである」

う、すごいです。これって、学校ではやりませんよね。学校では、「結論」を教えます。理科の実験といえど、結論があっての追認になっています。長男(当時、小学1年生)は、その場にいました。科学大好きの長男は、すごい機会を得たものです。

文系に進んだ私には、科学は疎遠でしたが、学問の手順は、文系も理系も変わりません。学問は、読書感想文や作文ではありません(作文と論文の区別がつかない大学生は、危機感をもった方がいいです)。科学は、学問は、結論ではありません。思考のプロセスです。結論がどうでもいいわけではありませんが、思考のプロセスがあっての結論なのです。このあたりが、学校教育の弱点の1つなのかなぁ。

長男が小学1年生のころ、大野先生のお話を聞くより少し前ごろ、「たかしよいち」さんのシリーズに異様なほどの関心を持ったので、3つのシリーズの全巻を購入しました(いずれも理論社刊)。

『まんが化石動物記』全10巻 (昔の生き物)
『まんが世界ふしぎ物語』全10巻 (古代文明、考古学)
『まんが世界なぞのなぞ』全8巻 (伝説と史実の検証)

私は、大野先生のお話をうかがって、たかしよいちさんの偉大さを了解しました。現在では直接確かめることができないが、伝説や伝承や仮説などのうち、現在ある証拠でもって、史実かあるいは部分的に史実であると確認できるものもあります。それらが定説となって、学校で習う内容となっていくのですが、なぜ、そんな昔の話を「確かなこと」あるいは「確かと考えてよさそうなこと」だと、言えるのでしょうか?

例をあげてみます。
『まんが化石動物記 5 きえたたくさんのかいじゅう』の「2.タール池に落ちた動物」です。
アメリカのロサンゼルス近郊にあるタール池で、1万年以上も前のさまざまな動物の化石が発掘されています。タール池とは、地面に湧きだした石油が空気にふれて、ねばねばしたタールとなってできた池のことです。池に落ちると、脱出できません。

その池からは、200種ほど、氷河時代のほとんどの動物の骨が確認されています。しかも、それぞれの種で、非常にたくさんの個体が発見されています。問題は、ひとつの場所から、なぜそんなにたくさんの動物の骨が出てくるか?ということです。「ぐうぜん」では説明できません。

そこで、仮説と議論です。本では、子どもたちが考えています。
自殺→あらゆる種が自殺することは考えられない。
水場→肉食動物はあまり水場を利用しない。
においがひきつけた→においの検証はできない。あらゆる種をひきつけるにおいは考えにくい。

ここで、推論が行き詰まりましたが、すでに出た仮説を再検証し、「動物が水場に集まる」ことと「動物が何かにひきよせられる」ことを組み合わせると・・・
タール池は、雨が降るとタールの上を水が覆い、ふつうの沼のように見える。草食動物が水を求めてタール池にはまる。タール池に落ちた草食動物は肉食動物をひきよせるエサとなる。肉食動物もタールのわなにはまる。

この推論を証拠で確かめます。「重なり合ったウサギとオオカミとコンドルの3つの骨」「マンモスの上にとびのったスミロドン(サーベルタイガー)の骨」、さらに肉食動物でさえ、肉食動物のエサとなります。

すごいですよ、この本。小学1年生が読んでわかる内容で、ここまできちんとプロセスを示せるなんて。私にとっての『数のふしぎ 形のなぞ』は、長男にとっての『たかしよいちシリーズ』なのかもしれません。

そしてまた、このプロセスが、抽象概念の基礎となるはずです。このプロセスは、パターン思考の組み合わせでもあります。仮説や推論、証拠から結論を描く力は、物語の力でもあるでしょう。

前へ前へ  TOPTOP  次へ次へ