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ホームスクーリング実践記

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[043]前置詞攻略

  

 

日本の中高生が英語学習で苦しむことの大きな部分に、「前置詞」があります。日本語にはない概念で、しかも前置詞なくして英語は成り立ちません。そしてまた、日本の学校英語では、前置詞を重視します。

試験でも、前置詞に関わる問題は非常に多い。文法問題だけでなく、前置詞がわからなければ訳せないような和訳、前置詞がわからなければ表現できそうにない英作文など、前置詞のウェイトは非常に大きいです。

でも、多くの中高生は、前置詞を個別でばらばらに覚えようとしています。だから、熟語や文法事項が異様に数が多く複雑になっていきます。熟語の中のかなり多くは、前置詞がらみです。もし、前置詞をパターン思考すれば、どうなるでしょう? 熟語と文法は大幅に簡略化されます。

日本語も、文法は複雑ですが、私たちは、文法を学んだ上で日本語を使っているでしょうか? そんな日本人は皆無でしょう。言葉があって、それをパターン化するために文法を構築するのです。だから、そもそも文法などなくても言葉は話したり書いたりできます。英語のネイティブも、苦労して熟語や文法を覚えているわけなどないでしょう。

前置詞のなかで、よく使うものは、そんなに数が多くはありません。でも、前置詞を日本語に訳すとき、TPOに応じて多様な訳語をあてざるを得ません。だから、日本人が英語を学ぶとき、前置詞が複雑怪奇の七変化に見えてしまうのでしょう。

どんな言葉のネイティブも、言葉は文法で話すのでなく、語感で話しているはずです。その言葉の、基本的なイメージや漠然とした感覚があり、それがTPOでさまざまな形をとりうる、というのが、私の見立てです。体系化するというのは、複雑化することと真逆です。文法は、複雑であっては本末転倒です。体系化、すなわちシンプル化が必要なのです。

たとえば、日本語の助動詞は、英語の前置詞に相当する複雑さと多様さが、一見あります。「れる、られる」は、受身、自発、可能、尊敬の4つの意味があります。私たちはこの複雑怪奇な助動詞をわけもなく使いこなしています。文法など、まるで考えもせずに。

しかし、英語の受動態と日本語の受身表現は、イコールではありません。英語では、能動態から機械的に受動態をつくることが、かなり可能ですが、日本語では、何でもかんでも受身にすると、とても変です。「可能」も、英語のcanとイコールではありません。機械的に言語を置き換えると、変です。つまり、言葉の奥底に、語感があって、それに基づいて私たちは自然と言葉を使っているのです。

さて、前置詞です。

基礎英語の最初あたりで、in, at, onがでてきます。この3つ、ちょうどいいです。時間とか場所とか抽象概念でも、いい具合に対比ができます。onの意味を「〜の上」なんて覚えたら、無限に暗記事項が拡大します。くわばらくわばら・・・

at  ピンポイント(点)
in  箱の中
on  磁石

イラストを書いて、これを徹底。onを「上」なんて覚えたら、天井についているシーリングライトを"on the ceiling"とは言いにくいでしょうし、壁に掛かっている時計を"on the wall"とも言いにくいでしょう。磁石なら、一発です。上であろうと、下であろうと、横であろうと、くっついている状態がon。上にあってもくっついていなければonではありません。

学校英語ではこういう教え方はあまりしないかもしれません。少なくとも、定期試験に語感や単語のイメージを問うような問題はなさそうです。入試にも。

すると、こういうことが生じます。

童仙房に、大学生が何人か来たとき、長女(当時、小3)が、試したそうです。onの意味を知っているかどうか、です。結果、大学生5人に聞いて、全員が「上」と答えました。「上、かつ、くっついている状態」と答えたのは2人。「くっついている状態であること」を知らなかったのが3人。5人とも、下や横にくっついている状態がonであると知らなかったそうです。

この学生たちに落ち度があるわけではありません。バラバラに、個別にして「覚える」やり方がマズイのです。

すべての前置詞は、単純なイメージ(語感)でとらえることができます。わが家では、そのように、前置詞をとらえています。これは、パターン思考だけでもなく、物語の力を駆使することが必要です。

前置詞をこのように理解するための参考書はあまり多くないようです。あえて言えば、『ネイティブスピーカーの前置詞』(研究社出版)あたりかな。

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