世界を救うというミッションをもって、今、目の前にフォーカスする

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どたんば哲学

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[041]田舎で働き隊

  

 

2009年1月、知人から連絡があった。農林水産省が「田舎で働き隊」という事業を始めるが、隊員を受け入れないかとのこと。

数日間、都市住民を受け入れ、食事、宿泊を提供する。業務としてではなく、ゲストとして。その間、田舎での作業や仕事を手伝ってもらう。いっぽう、隊員たちは、田舎での生活や仕事を体験し、田舎へ理解を深める。こういった形の都市・農村交流事業のようだ。必要経費は国から出るらしい。それ以上の詳細はわからない。

どんなことでもチャンスだと思い、できるものには取り組んでいこうと、私たち(建設会社社長と私)は立候補を表明した。もちろん、収益はないし、会社の事業でもない。

それにしても、年度内の事業実施とは、あまりに日がない。ま、あわただしい短期集中のプロジェクト立ち上げは、お手のものだが。

2月には計画を策定した。私たちが直接農水省と話をするのではなく、一次事業主体が農水省と話をし、私たちはその下に入る二次事業主体となる。つまり、私たちは子どもであって、農水省と話をするのは、お父ちゃんってわけだ。

ほんとうにあわただしく調整が進んだ。5泊6日で6人を受け入れることとなった。私たちのプロジェクトは、「森にはどんな価値があるの?」だ。体を使う作業を求めるのではなく、頭を使う作業を求める。

2009年3月19日、6人が到着した。私が駅まで迎えに行った。6人はお互い面識がない。男性2名、女性4名。年齢、職業、居住地、色とりどりだった。

初日は自己紹介とオリエンテーションで終わり。

2日目と3日目は、森を体験。仙の森でできることをすべて体験してもらった。森歩き、渓谷の冒険、ハンモック等でのくつろぎ、自然でつくった遊具、火おこし、薪と釜で自炊。

アルファコープの皆様ともご一緒し、なぜ、コープの方々が森へひかれるのか、思い思いに話を聞いていた。

さて、4日目と5日目がメインイベント。つまり、室内でのワークショップだ。

まずは、自分たちが体験したこと、感じたことなどで得た情報を皆で共有することから。

気持ちいい、美しい、冒険にわくわくした、ご飯がおいしいなど、さまざまな感想が出た。私は、「どこの森でもそうでしょう」と指摘した。皆、二の句が告げられなくなった。

ここんとこ、めちゃくちゃ大事。

「村おこし」の話は、いつもこうだ。村の魅力、地域の魅力、あるいはウリ、テーマ、特長を探せば探すほど、それはどこの田舎でも一緒でしょ、というものしかでてこない。自然は、ライバルも競合もなく、おおらかだ。だから、どこのどんな自然も、自己主張がない。そんな中の生活も、競合に対して自己主張すべきポイントがなにもない。

何もないけど村おこしをするから、「当村は、美しい自然と、素朴な人と、伝統文化が特長です。食べ物もおいしく、空気も水もきれいです」なんてPRしてしまう。

これは、北海道から沖縄まで、あらゆる田舎にそのまま当てはまるテンプレートだ。

「仙の森」という、由緒正しい(←しーっ!! トップシークレット!!)森でさえ、どこにでもある、何の変哲もない自然に過ぎない。森の価値って、どこにある?

さあ、そこからがクライマックス。うんうんうなって、頭をしぼりにしぼって、沸騰して湯気が出るくらいに考えて、フォーカスし続けて見えてきたキーワードが「非日常」。ここんとこを追求した。

森は、「癒し」の側面ばかりが強調される。しかし、コープや積水が森にひかれているポイントは、「癒し」ではない。創り出す、切りひらくことの魅力だ。コープのメンバーは、仙の森の魅力を「自由だ!!」と語る。そこには、静かな癒しではなく、アクティビティがある。森の活動は、とくに自然林の場合は、整備ノウハウもマニュアルも、どこにもない。役所にもない。里山とは、ノウハウやマニュアルで語られることのなかった文化だ。だから、そこにおける活動は、全てが創造だ。冒険も、釜炊きご飯も、創造だ。

森には、癒しの他に、気づきという側面がある。気づきという側面は、人間が主となって産み出すものなのだ。

ここにこそ、仙の森の価値がある。

おーーーー!! (一同、安堵と開放)

6日目の3月24日、おおいなる満足感と安らぎと仲間意識に包まれて、6人は去っていった。

本来なら、たかが6日間(正味4日間)で、森の価値を見いだすなど、無理な話だ。地元で何年かかっても見いだすことのできないテーマだ。

どたんば哲学がこっそり作動したのかも知れない。

「世界を救うというミッションをもって、今、目の前にフォーカスする」

森の「気づき」という側面、創造をもたらすという価値は、私には思いつかなかった。これを発掘したのは、積水とコープであり、発見したのは、田舎で働き隊だった。この価値は、今、日本が、いや、世界が最も必要としているものかもしれない。

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