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どたんば哲学

どたんば哲学

[049]失敗していないのに行き詰まり

  

 

地域が加速しつつ衰退していく有様に危機を感じ、自ら副収入を得ることが不可欠だとさとって、2010年1月に始めた個人輸出。

地域衰退の原因を世界の構造変化によるものだと考えている私には、まさに「今、目の前」だった。

そして、すぐさま、ベイビーステップがあり、3月には、自分がやって行けそうなカテゴリをつかんだ。

どんどん仕入れ、副業レベルの成功が見えてきた。というのは5月のこと。これで初期の目標を達成し、万々歳となるはずだった。

だが、わが家の進捗を上回るスピードで、地域の衰退は加速していった。これまで、田舎には、贅沢さえしなければ、収入を得る方法はそれなりにあった。それが、ほぼ消えた。私が勤める建設会社も、仕事はほとんどなく、新規に挑戦できそうなこともやり尽くした。田舎では、新しいことをしようとすると、期待する人たちと、足を引っ張る人たちが現れるものだが、ここ最近は、足を引っ張る人が現れなくなってきた。足を引っ張る余力さえなくなったというのが現実のようだ。

会社の給料をあてにし続けることは、非現実的だ。

つまり、副業を考えること自体が、非現実的なのだ。

自らの生活の糧は、全て自分の手で稼ぎ出さないといけない。誰かに依存する、何かをあてにするという発想そのものが、非現実的となってきた。

2009年秋に感じた「どたんば」は、そこから脱出しようという試みをあざわらうかのごとく、さらなるどたんばへ深化していった。

副業として成り立ちつつあった個人輸出は、無駄な努力であったのか?

そもそも、わが家は、どうすべきなのか? 田舎に住み続けることがよいのか?

もともと田舎に住んでいる発端は、私は独身時代にここを気に入って住み始めたことだ。よりこも子どもたちも、自分の選択では無しに、ここに住んでいる。いや、よりこはそうではない。

結婚後、童仙房に住み続けるかどうか、夫婦で判断したことが2回ある。

1回目は、結婚した年。隣人(地元住民ではない)の狂気のFAXをきっかけに、移動を決意し、童仙房内に移転先がなかなかみつからなかったとき。

2回目は、小学校が廃校となり、子どもたちの未来を村の教育にゆだねられないと痛感したとき。

いずれも、出ていく前提で動いていたところ、どたんば哲学が作動し、急展開でここに住み続けることとなった。

この2回とも、よりこが積極的にここに住み続けることを選択している。

が、子どもたちは、選択したことがない。

子どもたちに聞いてみた。

「童仙房に住み続けることは、これから先、どんどん厳しくなっていきそうだ。自分たちで新しいお仕事をつくっていかないと無理だろう。それは簡単なことじゃない。都会へ引っ越すというのもいいと思うけど、どうだろう?」

「えー!! いやだいやだいやだ!! 都会にいくのはいやだ!! 童仙房にずっと住んでいたい!! ここがいい!! ね、ここにいようよ!!」

長男と長女は泣きそうになって懇願するように言った。

とても意外だった。わが家は、童仙房に住み続けないといけない理由はないし、しがらみもない。自由な身だ。どうにでも選択可能だ。私が20年前に童仙房に来たときとは状況が激変している。20年前に童仙房がよかったからといって、今も同じ判断ではない。

子どもたちが、都会がいいと言えば、その方向で考えるつもりだった。親として、子を守るには、都会へ出た方がマシなように思っていた。

「都会は自由がない。ダメなことだらけだ。自然もない。遊べない。不便だ」
というようなことを子どもたちが言ったので、びっくりした。

「ぼくは童仙房が大好きだ。ずっとここにいたいんだ」
と、長男が言った。

父親は、うるうるモードだった。

子どもたちに勇気づけられ、夫婦は考え直した。

都会へ出ることで、どんな問題が解決できるのだろう?

田舎の衰退は、田舎だけの問題ではなくて、日本全体が衰退に向かっている。田舎が少し先を行っているだけだ。都会へ出たところで、問題の先送りではないか? いずれ、都会でも、自分で自分の生計を立てていかないといけなくなるだろう。その方法は、インターネット以外には考えにくい。だったら、都会へ出ても何も解決にはならないのではないか?

そもそも、子どもたちがこのように言っている以上、都会へ出ることは、「逃げ」の選択だ。逃げることも必要な場合があるという話はわかる。しかし、この選択において、逃げはまずい。逃げてもよくならない可能性が大きいのに、逃げの選択は、子どもたちの未来に陰を落とす。

よし、このどたんば、逃げない。ここにとどまる。わが家の選択だ。勇気ある選択を後押ししてくれた子どもたちに、心から感謝する。

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